地球環境保護の立場からターボ冷凍機の冷媒、保温材の発泡剤等として期待されている代替フロンHCFC-123(CHCl_2CF_3)の熱力学性質の研究を、平成3、4年度に引き続き実験的にまた解析的に行った。HCFC-123はCFC-11(CCl_3F)の代替冷媒であるが、CFC-11の生産量は平成6年には平成5年までの25%に削減されており、さらに平成7年末に生産が中止されることが決定している。本年度までに、小口・高石は共同して、実験研究に加えて、実測値相互間の比較検討、各種相関式等の作成を行い、以下のような研究成果を収めた。 1.飽和蒸気圧力を温度243〜453K、圧力0.007〜3.45MPaの範囲で温度および圧力の測定精度±5mK、±2.2kPaで46点、PVT関係を温度304〜493K、圧力16.4MPaまで、密度1446kg/m^3までの範囲で温度、圧力、密度の測定精度±5mK、±2.2kPa、0.01%で49点を測定した。 2.飽和蒸気圧力および臨界点近傍における飽和限界線に沿った温度、圧力および密度の実測値の関係から臨界定数を決定した。 3.飽和蒸気圧力の相関式を、本研究による実測値および公表された他の研究者による実測値に基づいて作成した。他の実測値は国際実用温度目盛り(1968)に基づいて測定されたが、これらを国際温度目盛り(1990)に換算して基礎データとした。 4.熱力学状態式を、本研究による実測値および公表された他の研究者による実測値に基づいて作成した。他の実測値は国際実用温度目盛り(1968)に基づいて測定されたが、これらを国際温度目盛り(1990)に換算して基礎データとした。
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