研究概要 |
昆虫の構造には興味深いものがある.ヒトの関節(ジョイント)には相対的な運動による摺動部分があるのに対して,昆虫の関節は摺動のない,ばねのような弾性変形を利用している.摩擦力は,スケ-ルに対して面積,つまり長さの2乗に比例して小さくなるとみなせるのに対して,質量は長さの3乗で小さくなるので,小さな生物では摩擦が相対的に大きくなる(スケ-ル効果).そこで,摩擦を排除したい関節のようなところでは弾性変形を利用した関節が有利になるからであると思われる. 弾性ジョイントで結合された昆虫の骨格は外骨格で,閉リンク構造になっている.外骨格は,筋肉に引っ張られることによって構造が変形する.これは,いままでのロボットにはなかった構造であるが微小なシステムには有利な構造であると思われる.さらに,弾性エネルギ-を筋肉に蓄えて,瞬間的に放出するジャンプも魅力のある現象である. ここでは,昆虫の外骨格構造に着目し,マイクロロボットで有効な構造の理論化を行なった. さらに,マイクロロボットでは体積力に比べて面積力が支配的になってくるので,固体,液体,気体について摩擦力・粘性力や表面張力のような面積力を調べて,これらがマイクロロボットにどのように働くか計算した.
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