本研究は知能ロボットが自律的に環境理解する場合の視覚とその利用方法に焦点をあてた研究である。時に、その視覚処理においてはその場限りの高速計算に主点をおくのではなく、一度見たもの、計算したもの他から教えてもらったもの、というものを記憶し、再利用することを重視した方式からアプロ-チする所が特徴である。これまで各種視覚研究を行い利用可能な設備や基本手法ツ-ルも整っているため、それらを利用することで単年度の研究としてまとめることができている。 具体的に行った研究項目は以下の5点にまとめられる。 (1)マニピュレ-タ塔載型移動ロボットを試作し、移動に伴う連続画像の取得環境を作る。 (2)連続画像から局所相関演算により運動対象の実時間追跡。 (3)オプティカルフロ-、デプスマップの実時間生成 (4)運動〓〓の観察から〓〓の構造を認識する手法の開発 (5)ニュ-ラルネットによる各種画像の認識 これらの研究実験をまとめ、記憶することと、記憶されたものを利用することとの整理を行うことが本研究の重要な課題でありそれを行った。それをまとめれば、(1)動画像処理において連続性を活用して動きをとらえるためにはその場の原画像を記憶し相関により再利用するという手法が極めて有効であること、(2)複雑な構造をもち可動部をもつものの認識にとっては動きが追跡されつつある場面場面においてすでに獲得しつつある形状のモデルとの局所的なマッチングを行うことで高速に可動構造の認識が可能であること、(3)動きと記憶デ-タとの連関を記憶した場合にそれらの関係がある定まった形式で計算せずとも得られるようになるすなわち学習型のメカニズムに関しては、ニュ-ラルネットの相関演算が利用可能であること、という知見を得た。
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