機械システムでは、人間のように絶えず学習し知識と経験を蓄積することができれば、稼働するごとにすぐれたシステムへと変わっていくことが可能であると考えられる。そこで本研究では、このような機械システムの例としてダイレクト・ドライブ・ロボット(DDロボット)を取り上げ、学習機能をもつ制御系をどのように構築すればよいかを理論と実験の両面から明らかにした。主要な成果は次のとおりである。 1. 決められた力を対象物の表面に加えながら手先を移動させる作業(すなわち、研磨作業など)をDDロボットに行わせる場合を取り上げ、ニューラルネットワークとファジィ制御の手法を応用した新しい学習制御アルゴリズムを開発し、その有効性を実証した。 2.DDロボットによる作業において、ある作業の学習が終了したのち、別の異なる作業を行う場合に対しても、これまでの学習結果(学習によって獲得した知識)を有効に活用し、オンラインでの学習時間の短縮化をはかることが必要であり、このための手法を開発した。さらに、2台の3自由度DDロボットの手先で1個の対象物を把持し移動させる問題を取り上げ、ニューラルネットワークを用いた学習協調制御アルゴリズムを開発し、その有効性を実証した。 3.手首をも含めて6自由度ともDDモータを用いてDDロボットを製作することは、DDモータが大きく重いため容易ではない。そこで、3自由度DDマニプレータと3自由度DD作業台とからなる6自由度DDロボットの問題として扱うことによって、新しい形式のDDロボットが実現できることを理論と実験の両面から示した。さらに、この新形式のDDロボットの制御方式の開発を行った。
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