対象物表面の法線方向と接触点の両方が検出できる指先触覚センサを、平成3年度に研究試作した3自由度ロボットの先端部にとりつけた。指先触覚センサからの信号は本年度に購入した指先触覚センサ信号処理装置に接続し、はじめに、指先触覚センサの基本動作確認実験を行った。この指先触覚センサはガラスで作られた半球殻の端面に8個のLEDが配置され、半球殻内部に集光レンズと光検出素子を備えている。また半球殻の外側には、約1mmの空気層を介してシリコンカバーが覆われている。センサの動作原理は、光電変換を利用するものである。すなわちLEDからの光をガラス半球殻の内部に導く。次に、シリコンカバーがガラス半球殻に接触すると、半球殻内部の光の反射条件が変わり、一部の光は半球殻内部に洩れ出る。この光を集光し、光電変換素子で検出することにより、接触点の位置が検出可能となる。指先触覚センサの基本動作実験を通じて、センサの感度や精度が場所によって異なることがわかった。特にセンサの中心付近は感度・精度ともによいが、周辺部になるにしたがって、両方とも悪くなることがわかった。さらに、光電変換素子に入ってくる光の総量を調べると、対象物接触面の凸面、平面、凹面、及びエッジ等はある程度判別できることがわかった。この指先触覚センサを、平成3年度の研究で、シミュレーションレベルではあるが、その有効性が確認されている動的接触点検出アリゴリズムによって得られる接触点位置に誘導し、この点を把握点検出の出発点とした上で、指先触覚センサを利用して対象物表面上を効率的にセンシングする能動的センシングアリゴリズムを構築した。このセンシングアリゴリズムの特徴は、指先触覚センサの高感度領域が優先的に利用されるように工夫されている点である。
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