従来、セラミックスの合成は固相反応法が主であったが、最近分子レベルでの混合及び組成の制御が可能であるとして注目されているゾル-ゲル法の基本的検討を行った。以下にその研究実績についてまとめる。 (1)ゾル-ゲル薄膜の膜物性について アルコキシドとして取扱いが容易なSi(DーnーC_2H_5)_4を原料として用い、高分子を混入した場合のSio_2薄膜をガラス基板上に作製し、その膜物性について検討した。 三元図を最初作製し、最適な組成比としてSi(OーnーC_2H_5)_4H_2O(加水分解用):C_2H_5OH(溶媒)=1:11:8(CH_3COOHO.O1mol%)を決定した。又粘度調整に用いた高分子はHPC(ヒドロキシプロピルセルロ-ス)であり、組成中のC_2H_5OHに対して12.5、25、50wt%混入した。成膜方法にはDipping法を用い、浸漬ー引き上げー乾燥ー熱処理を1行程とし、この繰り返しによって膜厚の調整を行った。熱処理は仮焼きとして大気中500℃で10分間、本焼として大気中、500℃、600℃で2時間とした。基板にはガラス及びSiウェハを用いた。その結果、一度に成膜できる厚さが厚ければ、膜の内部収縮と表面収縮との違いから、膜表面にクラック・剥離が生じること、高分子を混入することにより、1行程で得られる膜厚の増加すること、低粘度のゾルを数回に分けてDippingしても得られる膜厚は1μm程度であることを明らかにした。 (2)ゾル-ゲル薄膜の誘電特性と絶縁特性 現在ZrO_2とSiO_2について検討しており、抵抗率については10^<14>Ω・cm以上の値(室温〜100℃)が得られ、絶縁破壊強度についても、10^<15>V/cm程度の値となっている。又10kHz〜1MHzの周波数範囲内で、安定な誘電特性を示すことも明らかとなった。
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