絶縁性セラミック薄膜として、ZrO_2、SiO_2を取り挙げ、ゾル-ゲル法による薄膜の合成プロセスの確立と、その電気的特性について検討した。以下にその研究実績についてまとめる。 (1)SiO_2薄膜については、作製条件であるゾルの粘性率、成膜回数、成膜速度、焼成温度を調節することで、そのパラメータと比例関係にある膜厚値を持つ薄膜を容易に作製できることを確認した。 (2)作業条件をパラメータとして内部応力を測定した場合、焼成温度に対して引張り応力値は上昇し、粘度に対して低下する傾向を示し、膜厚が大きくなるにしたがって、引張り応力値は低下することを明らかにした。これより、ゾル-ゲル膜をデバイスに応用する場合、膜厚を重ねることによって、応力が生じにくく、歪によるクラック・剥離が抑制されたデバイスを作製することが可能である。 (3)抵抗率の測定において、TiO_2に応力依存性がみられた。これは圧縮応力から引張り応力に移行するにしたがって、応力値が上昇するもので、有機物による導電性と空孔、酸素欠陥の消滅によることを明らかにした。 (4)酸素雰囲気での熱処理は、残留有機物の酸化・分解に非常に有効である。 (5)酸素雰囲気での熱処理は、ZrO_2に対しては結晶化の進行はみられず、電気的特性は逆に悪化した。 (6)熱処理温度の高い試料ほど結晶化は進行し、これに伴いZrO_2の抵抗率は高くなり、比誘電率およびtanδは良好な特性を示した。
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