温度が数万度に達する高周波誘導熱プラズマの最大の利点は、無電極で反応性豊かなクリーンなプラズマ空間が実現できる点である。しかし従来までは数MHz以上の高周波域で点弧されており、その高温場は直径にして約50mmが大きさの限度であった。本研究は、従来までの数MHzで点弧したプラズマに、さらに数10KHzの低周波強磁界を重畳させ、低周波電力をプラズマ陽光柱内深くに注入し、その高温場を拡大化するための理論的、実験的検討を行なったものである。平成3と4年度を通して得られた成果を以下に列挙する。 1.まず、この異周波結合形プラズマトーチの内、高周波13.56MHz、15KW部分については、コイル半径として30mmを理論解析から決定しトーチを製作した。これを用いてプラズマ圧力300〜750torr、プラズマ出力14KWで安定にアルゴン誘導プラズマを発生することができた。また、その高温場も10.000Kを越えていることを分光測定から確認することができた。 2.この高周波プラズマにカップルさせる低周波コイルの適正値として直径85mm、長さ72mm、3ターンと決定した。理論解析により、60KHz程度で1万アンペアの低周波大電流により、この拡大化された誘導プラズマが安定に発生するという知見を得た。 3.実験的には、LC共振回路を構成し、単発ではあるが、ピーク電流5700A、減衰時定数約100μs、周波数65KHzの低周波・減衰振動電流を低周波コイルに流し、上記15KW高周波プラズマとの結合を試みた。低周波大電流重畳に同期してプラズマの発光強度の変化が認められたが、今後、この重畳電流のピーク値を倍(1万A以上)にするか、減衰時定数を倍(200μs)にしてゆけば、さらに具体的プラズマ場の拡大がはっきりと確認できると考えられる。これを今後さらに進める。
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