研究概要 |
本研究では,家庭用小規模障害電力管理システムの開発を目標として,その第一段階として,小形高効率で高応答の電力制御が期待できる高周波共振形半導体電力変換回路とエネルギー貯蔵要素として保守性のよい密封式鉛蓄電池を組み合わせた小形障害電力補償装置に関して,その回路構成,電力損失,出力交流電圧,電流制御法,電力制御法等について検討した。以下に研究成交の概要を述べる。 1.小形障害電力補償装置に用いる高周波共振形半導体電力変換回路として,比較的回路構成が簡単で絶緑トランス等の回路構成要素の小形化ができる直列共振形高周波リンクDC-ACコンバータを採用した。 2.コンバータの基本動作を理論的に検討し,出力電圧および出理電流の制御に適した等価回路を導出した。これを基にコンバータの電力フロー制御に関する基本法則を把握し,障害電力補償に必要な交流出力電圧電流のリアルタイム制御アルゴリズムを確立した。 3.コンバータを制作し,制御特性(出力電圧,電流波形の歪,過渡応答など)を実験的に確認し,良好な結果が得られた。 4.コンバータが発生する損失とコンバータの動作,出力電圧・電流制御特性との関係を把握した。 5.電源高調波等の無効電力(無効電流)を検出する回路をマイクロコンピュータを用いて制作し,直列共振形高周波リンクDC-ACコンバータと組み合わせ,無効電力補償が有効に実現できることを実験的に確認した。 本研究は,従来の他令式あるいは方形波PWM電力変換装置が主流であった無効電力補償の分野に,これまで電力制御法が確立されていなかった高周波共振形半導体電力変換装置を導入し,無効電力補償装置の小形化,高効率化に道を開いた点で極めて意義が深いと考える。
|