三次元電界ベクトルの計測法の原理を昨年度末に開発し、不十分ながら測定も行った。今年度には測定上の諸問題、特に電極を機械的に特定の方向に設定する方法について、検討を加えた。測定電極用としては、二枚の真鍮円盤を平行に保ち、これをを垂直軸から一定の角度(15度)傾ける方法を採用した。これをニトロベンゼン中におき、レーザを光源として、カー効果により電界ベクトルを計測した。角度の計測等種々の問題はあったが、ほぼ所定の値に設定することの成功した。ついで、垂直軸の周りの位置を設定するために、前年度に開発した方法を用いた。電極を回転しながら出力を測定し、出力の極値を求めることで基準面を決定した。実測の結果、測定誤差は電界強度については最大12%であった。垂直軸の角度の誤差は 最大4.8度、水平軸の角度の誤差は最大22度であった。また、同軸円筒電極を用いて2次元電界ベクトルの測定も行ったが、電界強度で10%、角度で10度以下という結果を得ている。測定用電極の機械的精度を向上すること(現在のものは自作品)、電極の端効果を適正に評価すること、端効果を生じないような電極容器を作成することなどによって、測定誤差は改善され得るものと考えられる。 これらの結果は電気学会放電研究会、第5回放電に関するアジア国際会議、平成4年電気学会全国大会、平成4年電気関係学会四国支部連合大会にて口頭発表した。また、素材物性学雑誌に論文として発表した。
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