研究概要 |
人間の腕を模擬したロボットアームに代表される従来のロボットは,その自由度が高々6自由度程度であり,機構面において柔軟な動作を実現することが困難な状況にある.従って,より多機能でかつ柔軟な動作を行えるロボットを実現するには,ロボット自身の自由度をできるだけ多くする事が必要不可欠となる.人間の骨・筋肉機構を理想モデルとして,ロボットのリンク・アクチュエータ機構と比較した場合に,基本的に異なる事項はアクチュエータである.現在,様々な機構をもつアクチュエータが開発されているが,筋肉のように柔軟で,小型,軽量,そして出力/重量比の大きなアクチュエータは未だに開発されるに至っていない.そこで,本研究では筋肉を理想モデルとした多くの自由度を有する多自由度アクチュエータおよびその力制御手法の開発を行っている.製作においては,近年注目されている半導体加工技術を導入し,アクチュエータを集積化することで小型・軽量化を図った製作プロセスを提案している. 平成4年度では,平成3年度に引き続き多くの自由度を有するアクチュエータの基本構造を提案し,半導体加工技術を用いたマイクロアクチュエータの製作プロセスを明らにした.特に,アクチュエータを支持する弾性材料としてポリイミドを導入し,高分子材料を組み合わせた製作プロセスの技術開発(エッチング技術,電極配線技術等)を行い,マイクロアクチュエータの製作を行った.また,製作した多自由度アクチュエータを仮定した多自由度格子システムの力制御系の構成法を明らかにした.ここでは,平成3年度において明らかにした非線形ポテンシャルによるソリトン波を利用した力伝達機構を応用し,ソリトン波を用いた力制御法を提案している.提案する力制御系および力伝送アルゴリズムの有効性は,計算機シミュレーションを通して確認を行った.
|