研究概要 |
電力需要の増大によって、電力系統には高い信頼性と高効率,大容量電力輸送が要求される。特に、経済的観点から送電電圧が100KVの超高圧に達し、電力機器の電気絶縁確保は一層厳しい状況となり、気中長ギャップの開閉サージフラッシオーバ特性の高精度予測が絶縁設計のうえで不可欠となりつつある。 送電線の気中絶縁設計は、制限された実験条件とデータに依存した実験式で与えられるフラッシオーバ特性を用いてなされるため、その信頼性と精度に限界があると共に、多大の労力と設備費を要する。本研究では、気中長ギャップのフラッシオーバ現象がリーダ放電進展とファイナルジャンプで起こることに着目した。 すなわち、2〜30メートルの気中長ギャップの電力設備の絶縁設計に必要なフラッシオーバ特性に与える電圧波形,電極配置及び相対空気密度や湿度の効果を予測するために、放電進展の新しい統合工学的モデルの開発を試みた。その結果、気中長ギャップのフラッジオーバ特性の高精度に予測可能なプログラムソフトを開発し、電力技術者及び研究者へ公開した。また、ファイナルジャンプ領域での電圧降下と電流急上昇の等価インピーダンスモデルは、完全ではないが、電力系統の非線形問題に対して有意義な知見を与えることができた。
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