研究概要 |
本年度はまず金属塩化物(CuCl、GaCl_3)と硫化水素を原料とし,各原料を同時叉は交互に供給でき原子層エピタキシャル成長にも適用できるエピタキシャル成長装置を既存の装置の改造により作製した。この装置を用い,1.まず通勤のエピタキシャル成長(同時供給)で一様で良質な成長層の作製条件、2.交互供給での原料供給条件の決定とエピタキシャル成長の試み、3.X線回折による成長層の結晶性に関する検討とEPMAによる分折、4.1.および2.で得た成長層のフォトルミネッセンス(PL)の測定とストイキオメトリ制御に関する検討、を行った。 1.については従来問題だった基板のエッチングを基板温度を十分に下げて薄い第一層を得、その後十分な成長速度の得られる高温で成長を行う2段階成長法が一様な成長層を得るのに極めて有効なことが分かった。 2.についての実験例は少ないが、目下のところ原子層的成長は生じていないようで、成長層厚が厚いこと、1.で明かになった条件を踏まえてもエッチングが生じていること、またCuGaS_2層以外にCu_xSも存在していると見なされる結果が得られている。これらについては今後原料の分離、基板温度、薄いCuCaS_2層を持つ基板上への成長などを試み問題を明らかにする。 3.1.で得られた2段階成長層はEPMA的にはストイキオメトリに近いが、X線的には第1層の配向性と第2層の配向性に変化が認められる場合があるなど今後検討を要する問題もある。 4.についても従来の成長層と1.で得た成長層を比較し3.の分折との対応からも銅空孔がPLスペクトルと抵抗率を支配していると考えられる結果を得た。更にAr^+レ-ザ励起下で吸収端近傍に何本かの共鳴的なラマン線が生じることや、自由励起子発光のエネルギ-が明確になった。
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