450℃附近の熱処理で導入されるサーマル・ドナーによる再結合ライフタイムの深さ方向分布を測定した。実験に用いた試料は、p^+-n^--p^+の格子状TEGであり、その基板はn^-/n^+及びn^-/n/n^+エピタキシーSiウェーハである。サーマル・ドナーの形成は、1125℃で80分酸素拡散した後に400℃で24時間、48時間、72時間の熱処理を行って導入した。n^+基板とn^-エピ層の界面近傍のライフタイムとn^-層中のライフタイム値は、アニール時間が増加するにつれて減少する。また、n^+とn^-界面近傍のライフタイムはn^-エピ層中のライフタイムよりも減少する程度は大きい。これらのライフタイムの減少の傾向は、n^-/n/n^+のnバッファー層の試料の方が少なくなる。この様な、ライフタイムの変化の様から、サーマル・ドナーは、基板のn^+層側から酸素の拡散によって発生するであろうと結論づけた。 従来、測定が困難であるとされていた、p^-/p/p^+エピSiウェーハを用意し、n^+-p^--n^+の格子状TEGを形成してp^-エピ層のライフタイムの深さ方向分布の測定系を確立した。p^-エピ層のライフタイムは、p^+基板との界面附近でも劣化の傾向は少なかった。n^-/n、n^-/n/n^+、p^-/p/p^+の3種類のエピウェーハを用いて、0.145mm^2(約0.4mm径)のホトダイオードを製作した。逆方向I-V特性から、漏れ電流の小さい順にp^-/p/p^+、n^-/n/n^+、n^-/n^+エピ層で構成した素子であることを見出した。
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