種々の光強度分布をもつ光波を、負の光非線形係数を有する非線形材料中においてコヒ-レントに波形合成する場合の導波特性について以下の検討を行った。 (1)負の光非線形係数による光波合成シミュレ-ション 負の光非線形係数の利用により、光波界分布の波形整形が可能である。この効果はハイパワ-用の小型CWレ-ザ-として注目されているアレイ形半導体レ-ザ-からのアレイ状空間分布を平担化し、単純な学峰分布に変換・合成するのに役立つものと期待できる。光強度分布平担化に対する非線形係数の大きさと光強度の関係を検討するために、光波伝搬に対して、非線形波の過渡的振舞いをも含めた形で解くことができる微小区間固有モ-ド展開法を用いて計算機解析を行った。負の非線形屈折率に基づく波面操作によって、光波が如何に合成、再配分されるかについて、1991年秋の応用物理学会において報告した。さらに、具体的デバイスをGaAs系多重量子井戸(MQW)光導波路で考え、テ-パ-形の導波路形状を用いた集光について検討を行い、デバイス設計上の指針を得るためのデ-タ収集を行っている。この結果については、1992年春の応用物理学会において報告予定である。 (2)光波伝搬特性測定実験 実験系システムの構成としては、コンピュ-タを用いた光強度波形処理装置の整備を行っている。現在、光源には、HeーNeレ-ザ-光を用いての近視野像測定を主体として行っているが、非線形性確認のために、MQw光導波路の光吸収ピ-ク波長より長波長側の半導体レ-ザ-を用いて光強度の変化に対する負の光非線形性の実験を行うべく準備を進めている。
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