研究概要 |
本年度は、音声と画像の周波数スクランブルを行うために,1次元周期的時変ディジタルフィルタの基礎的な解析および画像の周波数スクランブルの主観評価を行った. 1.1次元周期的時変ディジタルフィルタの解析 周波数スクランブルを行うための時変(シフト変化)ディジタルフィルタの基礎的な検討はほとんどなされていない.そこで,まず状態方程式によって表される1次元周期的ディジタルフィルタのシステム理論的な基礎の研究として,可制御性,可観測性,および平衡性に関する定義とその必要十分条件を求めた.また,この時変ディジタルフィルタのダイナミックレンジの解析および丸め誤差の解析を行った.この結果,従来の定常的ディジタルフィルタと同様に,等価変換によって,丸め誤差が最小となる周期的時変ディジタルフィルタの構造の合成が可能となった. 2.画像の周波数スクランブル法の主観評価 前年に提案した方法によって得られたスクランブル画像に対して,30人の人間による主観評価を行った.この結果,本研究者が設定した主観評価基準において,4.0の平均評価値(物体の特定になんらかの情報が必要)の評価値をえた.これは,現行の衛星放送において行われているスクランブル法(横方向の同期信号をランダムに決める方法)の評価値4.7に比べ幾分低い値となった.
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