研究概要 |
本年度は、 1.我々が独自に構成した「うるささ」騒音評価尺度の適用範囲を実験的に検討し、各種要因の影響(聴覚的不快感・非聴覚的不快感)を明らかにした。 2.従来の研究とは異なる発想のもとに、「騒音による心理的影響の程度」(「うるささ」と「色相」二つの騒音評価尺度に基づく)が表示可能な騒音計を具体化した。新騒音計は、横軸として、dB単位の物理量である騒音レベルのバーグラフ、L_<Aeq(lsoc)>の頻度分布およびL_<Aeq,T>の垂直線表示を、縦軸として、「うるささ」尺度と5「色相」尺度の組み合わせ表示を可能にしたものであり、物理量と心理量の一次形式の対応関係が読みとれる。例えば、L_<Aeq,T>が22.0dBは「まったく気にならない」・「青色」であり、34.6dB→「気にならない」・「緑色」、43.8dB→「あまり気にならない」・「緑色」、53.0dB→「少しうるさい」・「黄色」、64.7dB→「うるさい」・「紫色」、73.9dB→「かなりうるさい」・「赤色」、85.3dB→「非常にうるさい」・「赤色」である。 3.長野市内の地域住民を対象として、新騒音計の現場への適用性についても検討を加えた。7段階の「わかりやすさ」尺度を用いた評価結果から、従来の騒音計による指示値では、騒音の心理的影響の程度が「あまりわからない」と感じているのに対し、新騒音計の指示は、「かなりわかりやすい」と感じていること、心理的な整合性についても、騒音源によらず、「合っている」と感じていることを検証した。 以上の結果から、所期の目的にかなう「うるささ」・「色相」騒音計が開発できたといえる。 今後、対象地域をさらにひろげ、新騒音計の有用性を検討する予定である。
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