研究概要 |
本研究は,等価騒音レベルによく対応する二種類の心理尺度の構成に関する課題を取り上げ,現場聴取実験,社会調査および室内実験を通してこの課題と関連の深い各種要因の影響を明らかにするとともに,得られた二つの評価尺度に関する組み合わせ表示の騒音計を試作し,その評価を行うことによって,騒音評価法の新たな進展を図ったものである。 1.地域特性,居住年数,性別等の影響を加味した住民反応に基づいた評価語による「うるささ」騒音評価尺度に関する基礎的検討 (1)ある対象地域の住民が,日常一番よく用いている評価語を現場聴取実験結果から分析・抽出した「うるささ」尺度は,騒音源によらず,等価騒音レベル(L_<Aeq(5min)>),とよい対応関係を示す。 (2)「うるささ」騒音評価尺度の適用範囲を明らかにした。 2.評価語によらない人間が性来的に持っている「色相感」に基づく「色相」騒音評価尺度に関する基礎的検討 (1)各色相は,騒音レベルと対応し,また騒音から受ける「うるささ」の程度とも対応することから,5色相順序尺度が選定できた。 (2)騒音源によらず,5色相順序尺度はL_<Aeq(5min)>とよく対応する。 (3)その段階数は5色相で十分であるといえる。 3.試作「うるささ」・「色相」騒音計とその評価 (1)新騒音計は,横軸として,dB単位の物理量である騒音レベルのバーグラフ,L_<Aeq(1sec)>の頻度分布およびL_<Aeq,T>の垂直線表示を,縦軸として,「うるささ」尺度と5「色相」尺度の組合せ表示を可能にしたものであり,物理量と心理量の一次形式の対応関係が測定できる。 (2)長野市の住民による評価では,従来の騒音計によるレベルによるレベル指示だけでは騒音の心理的影響の程度まで「あまりわからない」と評価したのに対し,新騒音計の指示法によれば「かなりわかりやすい」と評価された。
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