分布帰還型半導体レーザ(DFB LD)について、コヒーレントな反射戻り光を発生させる系を構築し、それによって誘起される発振スペクトルの変化を観測した。また、モード分配雑音の測定を行い、インコヒーレントな反射戻り光の場合との比較を行った。尚、下記の項3については現在まだ進行中である。 1.裸LDチップを用い、その後方端面1.5cmにAlミラーを置いてコヒーレント反射光を戻す系を構築した。2×10^<-4>〜7×10^<-3>の範囲での精密な外部反射率の設定が可能である。この際、反射戻り光の光路長とLD発振波長が揺らぐのを抑えるために、LDを0.01℃の精度で温度制御した。また、Alミラーの位置を分解能25nmの微動ステージで制御することにより、反射戻り光の位相をπ/13ラジアンのステップで制御できた。 2.直流駆動、パルス駆動(1.6Gb/s RZ)での発振スペクトルの変化を観測した。 (1)直流駆動時には、外部反射率が6×10^<-3>程度でも、外部共振モード間隔(0.06nm)毎にピークが現れて発振スペクトル幅が広がるのが観測された(0.06nm→0.22nm、但し分光器の分解能0.05nm含む)。反射光の位相を変化させても、発振スペクトルには大きな変化は見られなかった。 (2)パルス駆動時には、直流駆動時と同様に発振スペクトル幅の広がりが生ずるが、その短波長成分が盛り上がることが見出された。この成分はチャーピングによるものではないことを確認した。 3.パルス駆動(1.6Gb/s RZ)でモード分配雑音定数k値を測定し、インコヒーレント反射光の場合と比較した。その結果、反射光の位相によってk値が大きく変化することが分かった。
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