本研究では、反射戻り光が動的単一モード半導体レーザのモード分配特性に及ぼす影響を実験評価すると共に、計算機シミュレーションにより雑音の発生機構を検討した。その結果、以下の成果を得た。 1.直接変調時のコヒーレント時間を測定し、400Mb/s程度以上の変調速度では、直流バイアス電流に依らず80psec〜100psecであることを示した。 2.時間分解分光法による測定を行い、分布帰還型半導体レーザ(DFB LD)は数Gb/s程度の高速直接変調時にも単一モード発振していることを明らかにした。これにより、モード分配定数k値による動特性評価、レート方程式モデルによるモード分配雑音の計算機シミュレーションが有効であることを示した。 3.インコヒーレント反射戻り光によって誘起されるモ一ド分配雑音を測定し、LDの直流バイアス電流が閾値以上に設定されているとモード分配雑音が増加することを初めて見出した。計算機シミュレーションにより雑音発生機構を検討した結果、反射光がLDチップ内に戻って干渉し、主モードの発振閾値がランダムに変調されるために生ずることを明らかにした。このことを利用して、DFB LD 単体評価、及び光アイソレータの所要アイソレーションの豊量化が可能となった。 4.コヒーレント反射戻り光の振幅と位相を精密に制御する実験系を確立した。また、その系を用いて直接変調DFB LDの発振スペクトルの観測を行い、反射戻り光によって短波長成分が盛り上がるのを見出した。本測定、及び計算機シミュレーションは現在も進行中である。
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