研究概要 |
本研究は,Hopfield型神経路網モデルを用いて,種々の組合せ問題を解くための汎用シミュレ-タを試作し,その能力を解明することが主たる研究目的である。本年度内に得られた成果は概ね次の通りである。 1.Hopfield型神経回路網モデルを用いて解くことができる組合せ問題の形式として,0ー1変数によって記述されたいくつかの制約条件と目的関数をもつ集合計画問題を定義した。各制約条件は,指定された変数のうち値が1となるべきものの個数を規定するものであり,一方目的関数は,変数の実係数2次形式および実係数線形結合の和となっておればよい。 2.上記の集合計画問題を解くことを目的とした,Hopfield型神経回路網モデルのシミュレ-タを作成した。ただし,ネットワ-クの各ユニットの出力として,2値に限定した離散モデルと0以上1以下の実数値を取る連続モデルの2種類を考え,また,ユニットの状態変化のタイミングについても3種類のモデルを考えた。 3.作成したシミュレ-タで,ハミルトン閉路問題や最大独立集合を求める問題を解いて各種のモデルの解法能力を比較検討中である。 4.上記の各種モデルによるシミュレ-ションの比較検討とは別に,Hopfield型神経回路網モデルのユニットの出力値を決定する際に確率的要素を取り入れたボルツマンマシンについても,その能力を検討した。ボルツマンマシンに関しては,汎用的なシミュレ-タではなく,LSI自動設計における重要な問題の一つであるスイッチボックス配線問題を解くシミュレ-タを作成してその能力を消討し,ある程度の成果が得られた。
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