ホップフィールドネットについてこれまでに指摘されている問題点:大規模化とともに計算時間が長大化すること、非許容解も出力するのでリアルタイム処理に使えないこと、解の精度が保証されてないこと、等について以下のような解決策を考案した。 1.ニューラルネットの数値シミュレーションアリゴリズムの計算時間が大規模化につれて急速に長くなるのはスティフ性が系の大きさとともに増大するからであることを明かにし、スティフ安定なシミュレーションアルゴリズムを提案してその収束性を理論的に解析した。 2.非許容解を出力するのはペナルティ法を用いているからであることを明かにし、ラグランジュ関数の鞍点を直接求める新しいアルゴリズムを提案し、この方法を実行するコンパクトなアナログ電子回路を構成した。具体的には、最短経路問題に対し、Bellmanの式を直接解くアナログ解法、線形計画問題に対し、双対定理に基づく解法、組合せ最適化問題についてWTA(Winner‐Take‐All)に基づくアルゴリズムを提案した。 3.本研究で開発した新しい組合せ最適化のアルゴリズムについて、NP困難な問題である最大カット問題に対する解の最悪誤差を理論的に評価した。その結果、本解法は従来の近似解法と性能が同等以上であることが保証された。 4.ホップフィールドネットの性能を上げる一手法であるアニーリング法について、電子回路で実行しやすい新しい方法を提案し、いくつかのNP困難な問題について実際に性能が上がることを確認した。
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