研究概要 |
超高精細映像通信の実現に向け,特にその撮像の問題の解決のため,従来のデバイスの微細加工技術による撮像素子の高密度化とは異なる新なアプロ-チの検討を行った。すなわち,複数のカメラにより撮像された画像の信号処理の手法により統合化する方式について,高解像化や低雑音化の限界および必要とされる信号処理手法の検討を行った。その結果,以下の事が明らかとなった。 1.固体撮像素子の撮像特性を検討した結果,固体撮像素子の開口率を100%と仮定した場合,提案方式により統合化された画像の解像度は,個々の固体撮像素子で撮像された画像の解像度に対して,最大2倍まで改善可能である事を明らかにした。また,統合化する画像数を増やすことにより,SN比の改善が得られることも明らかにした。 2.多眼画像の統合化のための信号処理は,1)個々の画像間の対応関係の推定処理と,2)不均一間隔標本点を均一間隔標本点に変換する処理の2つの処理から成り,2)に関しては画像復元やCT等で用いられている反復アルゴリズムを用いれば,複数のカメラ任意の位置に配置して撮像した画像に対しても処理が可能であることが明らかとなった。 本提案方式の今後の検討課題としては,1)の個々の画像間の対応関係の推定を安定かつ精度良く行う信号処理方式の開発が重要であり,その後は,ハ-ドウェア化の際の演算量の個々のカメラ系の撮像特性の差異への対処等の検討などが必要である。
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