研究概要 |
この年度には、2次元パタンマッチングについてさらに深い研究を行なった。まず、理論的な研究として、(n,n)サイズのテキストにおいて(m,m)サイズのパタンをκ個のミスマッチを許してみつける場合、平均時間において、O(kn^2/√<m>)時間のアルゴリズムを開発した。これはテキストを部分的にサンプル化してマッチングを行ない、見込みのないテキスト部分を捨てて行くことにより高速化したものである。 上記のアルゴリズムでは、ピクセル値に算術演算を行なわないで理論的に解析したわけであるが、実用的にはピクセル値に加減乗除を行なって更に高速化し、また信頼度を上げることができる。この場合の計算速度や信頼度の理論的解析は困難であるが、ピラミッド法を併用して、パターンの欠損や多小の回転といった状況でも、なお高い信頼度でパタンマッチングを行なうことに成功した。 さらに、この年度には、カラー画像にも研究対象を広げ、マッチングアルゴリズムをR,G,Bの3つの値について行ない、最も可能性のある点をマッチングの位置とした。これにより、当然、3倍の時間を要したが、信頼度は飛躍的に向上した。たとえば、欠損や回転パタンに対してモノクロよりはるかに高い信頼度でマッチング位置をみつけることができた。このR,G,Bの3色の画像の処理は並列に行うことができるので、3台のプロセッサがあれば、モノクロ場合と同じ計算時間で高信頼度を達成できる。
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