研究概要 |
コンピュータがマルチメディア化するにつれて、画像処理の高速化の必要性が高まってきている。本研究では、画像処理の中でも最も基本的なパタンマッチングのアルゴリズムの高速化を行った。 初年度では、ピクセル値を0〜255段階のグレー値として表した場合についてのパタンマッチングの高速化を行なった。具体的に用いた手法としては、テキスト、パタン共に8×8のメッシュに区切り、そのグレー値の平均値を用いた粗画面を用いてマッチングを行ない、候補点を絞った。すなわち、2段階のピラミッド法により、マッチングの候補点を求め、次に、その付近を、正規化相互相関距離を用いて探索した。粗画面でのマッチングについては、グレー値の平均値でメッシュ点をソートしておき、パタンのグレー値の平均値の近い候補点に得点を与えるという方法をとった。これらにより、12MIPSのサンワークステーションで、512×512のテキスト中に128×128のパタンをみつけるのに3秒の時間を要した。 2年目は上記のアルゴリズムを更に高速化するため、テキストを全部用いることなく、すなわち、サンプル化して粗画面をつくり、その上でマッチングを行った。これにより、マッチングの信頼度を損なうことなく、計算時間を1秒に短縮した。 更にこの年には、カラー画像でもマッチングを行った。その結果、パタンを多少変形してもカラーの方がモノクロより高い信頼度でマッチングを行うことが判明した。また、ピクセルが0,1の2値の場合についてk個のミスマッチまで許す、いわゆる近似マッチングのアルゴリズムについて理論的解析を行った。 これらの研究成果は、画像処理アルゴリズムに大きく寄与するものである。なお、関連する分野としてグラフアルゴリズムについても若干の成果を得た。
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