X線CTを用いた肺癌検診用CTの新規開発を提案し、その一環として本研究では、大量のCT画像を診断しやすい形で医師に呈示する、診断支援システムの検討を行った。得られた成果は以下の通り。 1.三次元的画像デ-タの効果的表示法の開発 一患者あたり30〜40枚からなるCT画像の医師による読影作業を軽減するため、上記画像中より肺癌病巣部を効果的に強調(妨害臓器情報を抑制)したのち、これを一枚の二次元画像で表示する技術を開発した。 具体的には、(1)MIP法(Maximum Intensity Projection)と呼ばれる方法で2次元画像に投影表示するが、(2)その前に病巣部を陰ぺいする危険性のある、肋骨、体表、縦隔、横隔膜の各情報を、各臓器のCT値と面積情報に基礎を置く複合形マスク演算処理法により除去する方法を開発した。 2.肺癌病巣候補自動抽出アルゴリズムの開発 医師に代わって、肺癌病巣部を自動認識するシステムの開発の第一歩として、病巣候補領域の自動抽出アルゴリズムの検討を行った。 具体的には、モルフォロジカルフィルタの一種である二次元非線形フィルタを新たに開発した。本フィルタは肺癌のような孤立性陰影に特異的に応答する性質があることを理論的、ならびにモデル実験的に明らかにした。 3.臨床的妥当性の評価 上記1.2.の方式を実際の肺癌症例3例に適用し効果を調べた。その結果予期した通りの好結果が得られた。今後はさらに実験症例を増やしながら、各種バリエ-ションに対応できるよう細部の改良を行う必要がある。
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