研究概要 |
1.認識方式の検討 筆順フリーオンライン文字認識アルゴリズムの基本形を確立するための研究を行い、以下の研究成果を得た。 (1)確率モデルを2次元に展開して入力文字の生成事後確率をDPマッチングによって最大化するという複合アルゴリズム(2次元HMM(Hidden Markov Model)を評価し、基本性能を確認した。 (2)予測型神経回路モデルによるペン移動予測能力について実験を行ない、予測能力があるとの定性的実験結果を得た。 (3)2次元文字パターンから字画を分離抽出する神経回路モデルの検討を行なった。基本的な性能は確認されたが、手書き文字への適用性、DPマッチングとの親和性、神経回路モデルの規模に関して問題があることが明らかになった。 2.確率モデルを用いた認識アルゴリズムの効率化 上記の検討の中で最も有効な手法と思われる2次元HMMによる認識方式に関して学習方式、事後確率評価方式を確立したが、認識時の処理速度と記憶量が過大である点が問題となった。これに対する検討を行い、アルゴリズムの複雑さの原因が4次元構成のワークエリア上での探索処理にあることに注目し、2次元平面上に(1,0)ドットで表現されていた入力パターンをペン軌跡の(x,y)座標系列で表現し、DP計算点をこのテーブルで指定する方式を開発した。これにより、計算ワークエリアは実質3次元構成となり、記憶量が1桁圧縮され、計算量的には数倍の高速化が達成された。 3.確率モデルを用いた認識アルゴリズムの多画文字への対応 英数字等の多画文字に対する2次元HMMの適用について検討を行ない、画間のジャンプ部を、実線部分とは別の出力確率形式で処理し、全体としては実線部分と矛盾なく統合されたHMMとする方式を確立した。
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