研究概要 |
植込み型除細動器は、心室細動による突然死を防ぐ唯一の電気的治療装置であるが、その体積が日本人に植込むには大きすぎ、しかも寿命が3年と短いため、より一層の小型化が切望されている。そこで我々は、上記の問題を解決するために新しい刺激回路と刺激方式を考案し、実際に装置を製作して動物実験を行なってきた。具体的には、独自に刺激装置,細動検出用圧センサならびに刺激電極を開発し、急性動物実験を行なってその動作を確認した。また、ペーシング機能を追加した除細動器を開発し除細動直後からの高出力ペーシングを可能とした。 以上の研究成果をふまえ、本一般研究(C)では平成2年度まで行った実験用除細動器システムの開発と信頼性向上のための不整脈認識法に関する研究に引続き、平成3年度から2年間にわたり実時間での不整脈検出および実験装置の植込み方法に関する基礎研究を行なった。平成3年度の研究では、動物実験において使用可能な不整脈認識回路を開発した。ここでは不整脈認識法について、インターバルヒストグラムを用いて基本周波数成分の変化を検出する実時間不整脈認識プログラムを開発した。さらに植込み型に応用可能なマイクロコンピュータを用いた認識装置を用いてその動作を確認した。次に平成4年度の研究では、実際に動物の体内に植込み可能な制御装置を作製し、最大4週間の植込み実験を行った。まず最初に、装置そのものの耐久性を確認するために種々の装置外装による植込みを試みた。さらに外部からの情報伝送のための少電力型伝送回路および細動発生時の心機能補助に最適な骨格筋刺激機能を新たに追加し、除細動エネルギーより低減するための総合的な方式を確立することができた。
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