研究概要 |
本研究は,光電磁波を高さ方向,横方向に強く閉じ込めた構造の3次元導波路形光平面回路素子の可能性を平面回路理論に基づいて検討すると共に,強い閉じ込め構造の3次元光導波路を実際に電子ビーム露光装置により作製し,測定した.理論解析の問題点及び微細回路作製・測定の問題点を検討・評価した。今年度は主に次のテーマで研究を行った. 1.3次元光導波路ステップ不連続の電磁界解析 本研究で取り上げる導波路形光平面回路は,光電磁波を強く閉じ込める事で,マイクロ波回路と同様に単一モード・単一偏波で動作する真の微細光回路を作製するものである.従って,回路の微小化に伴って回路境界での光電磁波の乱れを考慮した3次元ベクトル解析法を提案している.導波路幅2μmを中心に1.5〜2.5μmまでの幅方向ステップ不連続を本手法に基いて3次元的に解析した.今後,電磁界の乱れを適切に考慮した光回路,あるいはマイクロ波回路と同じ考えによる光回路の合理的な設計が可能になると考えられる. 2.導波路形微細光回路素子の解析・作製・測定・評価 単層ステップ形構造は,強い光電磁波の閉じ込めを実現できるが,垂直偏波と水平偏波が縮退気味なので単一偏波面保持の光回路は実現し難い.多層超薄膜構造は垂直と水平モードの縮退分離が層数を制御する事で容易に実現する事ができる.多層超薄膜3次元光導波路を電子ビーム蒸着法で作製し,伝搬定数の測定より,TEとTMモードは理論通りに大きくモード分離している事を確認した.又ストリーク光の測定から伝搬損失を評価した結果,TEモードは多層超薄膜部分に強く閉じ込められる為に,TMモードよりも損失が大きい事が分かった。TEモードの損失は2.7dB/cmであった.本科研費によって円弧作製装置が導入されたので,今後円形ベンド等を含めたより実際的な回路作製が可能になると考えている.尚,研究成果は電子情報通信学会等で発表した.
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