本研究は、高感度感光磁性半導体PMS(Photo Magnetic Semicon-ductor)の作製法の確立と光応答特性について検討して、新しい光磁気変換素子の開発を行った。PMSはフェライト系磁性半導体に白金黒やカーボンブラックを塗布した厚膜素子であり、広範囲の光に応答する特長を有している。PMSの作製には、焼成型とポリマー型があり、光信号読み出しには、磁気ヘッドとホール素子法がある。平成3年度は焼成型を、4年度はポリマー型の作製法を検討した。焼成型は、フェライト粉末にルテニウム化合物を混入し、溶剤を加えてアルミナ基板にスクリーン印刷して、850℃で焼成したものである。補助金により購入した感光磁性半導体作製記録装置は作製工程の記録に活用された。しかし材料のルテニウム化合物は高価であるため、作製費が高くなる欠点がある。そこで、代わりに無機バインダ(ガラスペースト)を混入する方法を見出し、焼成温度を650℃程度に下げ、作製費を低減させた。光信号読み出しは、PMSに一定磁界をかけて光照射による磁気特性の変化を磁気ヘッドで読み出す方法を検討した。平成4年度では、ポリマー型のPMSについて検討した。ポリマー型はフェライトにポリマーと溶剤を加えて、プラスチック基板に印刷したあと、乾燥させたものである。ポリマーとして、エポキシ、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルなどを用いた。ポリマーPMSは作製工程が簡略で、作製も短時間ですむ利点がある。また、フィルム状であるため柔軟性があり、任意の形状に成形できる光信号読み出しはホール素子を用いて検出部を一体化したため、磁気ヘッドに比べて極めて小型になった。以上の如く、フィライトを主成分とした焦性型の高感度光磁気変換素子の開発を行い、所定の成果を収めた。これらの研究成果は内外の学会誌(4編、他に投稿中2編)と口頭講演(9編)を通して発表を行った。
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