筆者は、水ベースの磁性流体を直接吸収することによって、植物自体が磁気特性を有する磁気応用工学上、興味ある報告を行ってきた。 しかし、これらの報告では磁性流体の分散剤が植物の発芽、生育に著しく影響を与えることが明らかにされた。よって、本研究では、これまでの結果を踏まれて、以下の研究成果を明確にした。 (1).セルロース、リグニン等の高分子物質からなる非磁性繊維上組織体である木材の高吸湿性と磁性流体の液体であることを利用して、木材中に磁性流体を浸透させる方法により、磁気的性質をこれに付与した高機能性の木材を考案し作製した。さらに、この磁性木材の作製法、木材中への磁性流体の浸透度合いによる見掛透磁率の違いと周波数特性を明らかにした。 (2).磁性流体および磁性流体を吸収した植物、木材の磁気計測法を明らかにした。始めに、永久磁石を用いた直交磁界による磁性流体の磁束制御特性を測定し、直交磁界をベクトル合成することより、磁性流体の磁化特性を従来のVSM等の計測法に比較し、簡単に得られることを明らかにした。更に、筆者が先に考案した磁性流体中にコイルを沈めて磁性流体の交流初透磁率を計測する内部励磁法の測定条件と、測定精度の向上をはかった。
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