本研究では、磁性流体および磁性流体の各化学成分要素の濃度によるカイワレダイコンの発芽率の測定結果より、発芽に及ぼす磁性流体の化学成分要素を明らかにした。更に、カイワレダイコンの根および茎からの溶液吸収経路の比較を行うと共に磁性流体の印加量および時期による生育への影響を明確にした。上記の結果を踏まえて、磁性流体を吸収した木材の作製法とその磁気計測法を明確にした。最後に、磁性流体および磁性流体を吸収した植物と木材に関する磁気計測法を明らかにすることより、新たな磁性植物材料の評価法を明らかにした。以下に研究成果を明記した。 (1)磁性流体による生育法として磁性流体で種子の段階から発芽生育させるよりも水で発芽生育させた植物に磁性流体を加える栽培法が現状では適した育成法であることが了解された。 (2)磁性流体の各化学成分の生育への影響として磁性流体の分散剤であるオレイン酸およびドデジルベンゼンスルボン酸ソーダOBSは、植物の発芽生育に悪影響を与えることが明らかになった。 (3)磁性流体を吸収した木材で、ハルニレ、ヤチダモ、ホオノキ、キリの広葉樹4種類の木材試料に減圧注入法、浸漬法、コーティング法の各作製法で試作した結果、減圧注入法で作製したいハルニレが最も透磁率が高く周波数特性も良好な結果が得られた。 (4)従来の交流試験法と比較して、簡便であり、しかも磁性流体の交流初透磁率の測定に適すると考えられるコイルを磁性流体中に設置するという筆者が最初に考案した内部励磁法の測定条件および測定精度の向上を明らかにした。
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