研究概要 |
本研究は適応機能や学習機能を持つようなインテリジェントな制御系の設計法ならびに安全性維持のための方策をロバスト適応制御理論から探る研究である。この観点に立って、複数の適応制御装置が協調して制御に当たる場合に、制御装置の一つが故障しても制御系が暴走しないための方策を開発した。これを、計測自動制御学会学術講演会特別セッション(1991年8月)、日本応用数理学会年会(1991年10月)に報告した。また、これらを一般化した成果を、自律分散システムシンポジウム(1992年1月)および適応制御シンポジウム(1991年1月)に報告した。これらの原点となる分散適応制御系の安定解析を行った研究が1992年5月発行の計測自動制御学会論文集に掲載される予定である。 この研究に平行して、インテリジェント制御がAI的な論理と通常まフィ-ドバック制御とが混在した制御系という捉え方の研究を進めている。この制御系の記述に、神経回路網やファジイで用いられている理論のアナログ化技術を持ち込み、インテリジェント制御系全体を連続値のシステムとして記述する手法を開発しつつある。本年度は、順序論理回路の内部状態(フィリップフロップの状態)を推定する観測器の設計を神経回路網技術ならびにロバスト適応制御技術を基礎に設計し、特性解析を行なっている。順序論理回路の状態推定は、制御対象の論理の内部状態の推定に対応しており、インテリジェント制御の設計および安全対策、いずれにも効果的である。現在、研究している論理のアナログ化手法および設計した観測器の有効性が確認されており、これを計測自動制御学会学術講演会(1992年8月)およびIECON '92(IEEE International Conference on Industrial Electronics,Control,Instrumentation,and Automation,and Automation,1992年11月)での発表を計画している。
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