本研究は、大規模組合せ最適化問題への新しい手法の一つとして生物界の現象に学んだ確率的な分散手法の開発を行った。 特に次の三点について研究を進めた。 1.生物界の現象である適者生存の繰り返しによる進化としての遺伝における交叉や突然変異の考え方と、確率的手法の一つである焼き鈍し法(simulated annealing法)を融合した確率的最適化手法を新しく開発した。本手法は並列分散的手法であり、処理時間が速く、かつ解の探索範囲が非常に広いために、真の最適解が求まる確率が非常に高くなる。現在は分散処理専用のコンピュータを用いていないが、用いた場合には、非常に高速な処理が可能となる。本手法を、VLSIのレイアウト設計問題であるフロアプランなどへ適用した。 2.大規模最適化の解法には欠かせない近似の概念を、平均場近似法の研究を通して探求した。計算の高速化には必須の概念である近似の概念を平均場近似法から学ぶべくその本質を探求し、種々の結果を得た。 3.分散性の概念の構築のためオートマトンネットワークの学習性と最適性について研究した。具体的に並列分散的計算を実行するために必要な分散処理過程を構築するためオートマトンネットワークの処理過程に着目し議論を行い結果を得た。
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