自律学習能力を持つAI・ニューロ統合型ファジィ推論システムの構築と有効性の検証

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 03650349
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 片井 修 京都大学, 工学部, 助教授 (50089124)
• キーワード: ファジィ推論 / 制約充足問題 / ファジィ制御 / 自己組織化 / 自律分散システム / ニューラルネット / 遺伝的アルゴリズム / 自律移動ロボット

研究概要

本年度に得られた成果は以下のようにまとめられる。(1)「自律学習法の構築」:生物進化メカニズムの計算機模擬によるシステム最適化・自己組織化技術である遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)を導入して、ファジィ推論システムの自己組織的な学習法を導入するとともに、本研究で導入してきた記号処理推論・ニューラルネットワークとの融合化技術と統合することによって新たな学習法を構築した。(2)「統合システムの構築」:本研究で今まで構築してきた推論・学習の基本モジュールを統合することによって、記号処理推論ならびにパターン情報処理と融合可能な自律学習型ファジィ推論システムを構築した。(3)「統合システムの倒立振子システムの制御への適用」:台車、振子という二要素複合の制御対象である倒立振子システムに対して、制御目標の分解と遺伝的アルゴリズムの導入によって、複雑な対象に対しても、事例からの制御ルールの学習・適応が効率的に行えることを明らかにした。(4)「自律移動ロボットの制御・計画への適用」:本システムを、外界に関する情報が不完全な下での自律移動ロボットの計画・制御問題に適用し、その有効性を明らかにした。すなわち、ロボットは、外界に働きかけながら自律的にセンサ情報を獲得し、それを処理・解釈するとともに、この経験を積み重ね、ニューラルネットならびに遺伝的アルゴリズムによってそれらを精錬しながら、外界およびロボット自身の特性に関するファジィ推論ルールを構成するとともに、目標達成のための移動経路計画の作成とそれに沿った移動制御を記号処理推論とファジィ推論を融合することにより実行することが可能であることを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] 片井修: "区間制約ファジィ推論法による倒立振子の制御と車両移動計画の生成" 計測自動制御学会論文集. 第29巻. 470-479 (1993)
• [文献書誌] O.Katai: "Fuzzy Control as Self-Organizing Constraint-Oriented Problem Solving" Proceedings of 5th IFSA World Congress. Vol.2. 887-890 (1993)
• [文献書誌] O.Katai: "An Autonomous Decentralized System for Constraint-Oriented Problem Solving Involving Continuous and Fuzzy Variables" Proceedings of the 1st Int.Symp.on Autonomous Decentralized Systems. 63-69 (1993)
• [文献書誌] T.Sawaragi: "Signal Understanding of Spectrum Data Using Bayesian Network and Neural Network" Proc.of 1993 Int.Joint Conference on Neural Networks. Vol.2. 1909-1910 (1993)
• [文献書誌] T.Nishiyama: "A Parallel Processing Architecture for a Telepresence Mobile Robot" Proceedings of ICAM'93. 104-109 (1993)
• [文献書誌] 井田正明: "目的関数に区間係数を有する多目的線形計画問題に対する有効解判別法" 計測自動制御学会論文集. 第29巻. 1247-1249 (1993)
• [文献書誌] A.Kandel(ed.): "Fuzzy Conrol Systems" CRC Press, 624 (1993)
• [文献書誌] 岩井壮介: "知識情報処理とファジィ" 日刊工業新聞社, 283 (1993)