研究概要 |
本研究の目的は,レ-ザ-光の放射圧を用いて、可動子力数Mm程度のマイクロモ-タ(回転モ-タ、リニアモ-タ、浮上モ-タ等)を、非接触・非電力・非媒質で駆動させるための理論を構築し,実際の装置化のための機械機構、光学系、材料などを検討、試作することにある。 光の放射圧でマイクロモ-タを駆動させるためには、レ-ザ-光を非常に効率よく回転力、浮上力などに変換しなければならない。そのために、光の放射圧が発生する機構についての理論的解析及び数値計算を行ない、集光ビ-ムによるトラッピングの効果、ビ-ムの偏光性による回転の効果、ユバネッセント波によるトラッピングとスライディングの効果等について調べる必要がある。 理論的解析及び数値計算によって、集光ビ-ムによるトラッピングの効果についてその理論的限界を示し,リング状の集光ビ-ムを用いることによりその限界を越え得ることを示す結果を得た。また、ユバネッセント波による放射圧発生の原理を明らかにし,可動子のスライディング効果・浮上効果があることをも見いだした。そして,光導波路上部に生じるエバネッセント波によっても可動子を駆動可能であることを見いだした。 また,落射型光学顕微鏡をベ-スとした、レ-ザ-モ-タ駆動確認のための基礎的システムを試作した。このシステムにおいてはレ-ザ-ビ-ムはガルバノミラ-によって顕微鏡視野内に異なる方向から焦点の位置を走査することができるようにし,また可動子の位置情報や散乱光パタ-ンを検出するための位置センサやビデオカメラシステムを設置した。本試作システムを用いて,エバネッセント波による球状可動子の浮上・移動,円偏光ビ-ムによる円柱モ-タの回転・制止などの基礎的実験を行なえることを確認した。
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