研究概要 |
直流磁界下での永久磁石や,交流磁界下での渦電流の利用による磁束収束現象の成果から,このような磁束収束や磁束制御法を発展させた素子あるいは装置として「磁気レンズ」の概念を確立するため,凸レンズ効果に着目した研究を行った。交流磁界下の磁束線を収束するための収束板の構造について検討を行ない,最大の収束比を得るための構造について基礎的知見を得た。その結果についての一部を平成3年度の応用磁気学会学術講演会にて公表した。 我々はこの磁束収束板を磁束収束用レンズ(磁気凸レンズ)と呼ぶことにした。この磁気凸レンズは超電導体で作製することによって、そのマイスナ-効果を利用することにより、直流磁界下における磁束収束を得ることも可能となる。 他方、このような現象を実用化するためには、磁界解析によるシミュレ-ションが最も効果的であるが、この種の解析は従来より非常の困難であったが、渦電流の流れ方を決定する電荷保存則にアンペアの同回積分の法則を付加した新しい境界要素法による磁界解析法を考案した。これにより種々の構造における磁束収束の様子が解析可能となった。 以上のことから本年度の得られた成果をまとめると次の様になる。 (1)磁気凸レンズの構造と磁束収束の様子を明らかにした。 (2)磁気凸レンズの磁界解析法を考案した。 次年度は永久磁石による直流磁界下の凸レンズの考案並びに磁気凹レンズ効果の検討を行う予定である。
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