本研究の主な研究結果はいかのようである。 (1)衛星搭載仕様の相関計・偏波計の設計の留意点:ペイロ-ドの制約の中で相関計・偏波計如何にしての測定周波数レンジをたかめること、また周波数分解能、最小・最大信号強度、デ-タ伝送レ-トを地上からのコマンドによって容易に制御できること。 (2)初年度に購入した電子回路部品によって、従来準備してきたパソコンと接続し、自然電波の受信信号を電気信号に変換し、さらにパソコンで扱うことができるディジタル信号に変換する装置の試作に成功した。これにより、種々のデ-タ解析を行い、1ビット相関法によって信号のスペクトルがかなりの精度で得られることが分かった。同じ信号にたいする1ビット相関法、フ-リエ変換法、マルチビット相関法に依る解析結果の相互比較をおこなった。ただし、信号の周波数は20kHz以下であり、もっと高い周波数の信号にたいしても実験を行う必要がある。 (3)問題点:信号のなからDC成分があると、少数ビット相関法ではS/Nが低下する傾向がみられるで、DCから超低周波成分と高周波成分を分離する必要があるかもしれない。相互相関の場合、2つの信号ともに少数ビットとすると遍波の測定精度がさがるのでこの対策を考える必要がある。また短時間でスペクトルが変化するいわゆる非定常信号のスペクトルの解析手法については今後の課題である。 成果の発表:惑星における電波観測を広い周波数帯域でおこなうための電波の受信法について、文部省宇宙科学研究所の搭載機器基礎開発成果報告書に発表した(印刷中)。一方、宇宙科学研究所の次期惑星ミッションとして火星の電・磁気圏探査が正式に決定された。我々はこのミッションにおいて波動観測の必要性を指摘し、具体的な観測方法を提唱した(平成3年度磁気圏電離圏シンポジウム、印刷中)。この提案では周波数分析器の搭載を検討しているが、どのような周波数分析器が最良であるかを、本研究の相関法を含めて検討しているところであり、平成4年度の研究では各種方式との比較を行いベストな機器を設計したい。
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