本研究は、汎用解析プログラムの普及に伴って有限要素法による非線形解析が産業界における日常の業務に幅広くとり入られるようになってきた反面、汎用コ-ドの適用限界を越えて用いられること、などのために混乱が生じている事態が多くなっている現状を踏まえ、応用面の実状を調査し、問題点を把握し、対応策を整理する、などにより、構造設計過程への非線形有限要素法の安定的導入に寄与することを目的としている。 計算力学を核とする建設技術の研究開発に焦点を当てた「建設技術研究開発とコンピュ-タ」を課題とする研究討論会を、本研究の代表者を委員長とする委員会(土木学会非線形解析小委員会)活動の一環として企画し、平成3年9月に開催された土木学会全国大会において実施した。計算力学の現状と将来を展望し、実務における非線形解析の応用事例を概括した上で、抱えている問題を提起し、討議したものである。その概要を土木学会誌(79巻13号付録)に報告した。さらに、より詳細な分析を行い、課題を整理し、それぞれに対応する手立て、などを報告書としてまとめ、土木学会論文集(453号)に発表する予定である。 現在広く普及している有限要素法による汎用解析ソフトの多くは長い年月の使用と改良を経たもので、それなりに安定な使用に供せられているものであるが、特に非線形解析に関しては、解析対象とすることを期待されている範囲は限りなく広く、なお克服しなければならない多くの困難な問題を抱えているのが実状であり、日々改良の努力が加えられ、進歩を続けている。本研究の代表者を委員長とする委員会(日本機械学会RCー98研究分科会第6小委員会)の活動の一環として、汎用ソフトの現状を調査し、新たな進歩への手掛かりを探究した。その成果を上記委員会報告書として発表する予定である。
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