本年度は、対象をア-チ橋に限定し、ニュ-ラルネットワ-クを用いた景観評価システムの構築を行った。以下に、その結果をまとめて示す。 1.橋梁美を構成する要素として、「形式美」、「サイコベクトル」、「環境との調和」の3つを取り上げ、各要素を定量化するための評価項目として、以下に示す各評価項目を考えた。 (1)形式美:ライズ比、スレンダネス、補剛材間隔、視点位置、橋種、橋の形式等 (2)サイコベクトル:橋梁本体の基本および補助サイコベクトル、ア-チ部、橋脚等の各サイコベクトル (3)環境との調和:風景を山岳、湖、湾口、臨港、川の上流、下流、跨道に分けて、風景内に占める山、水、橋の面積比等 以上、3つの要素について合計43個の評価項目を選定した。 2.橋梁美を点数が評価する方法として、市販されている写真集(日本の橋、世の橋等)から種々のタイプのア-チ橋94橋を選び、鳥取大学生84人を対象としてアンケ-トをとった。アンケ-トは、〇(好む)、△(どちらでもない)、×(好まない)の3段階とし、橋梁美p=100{84-(×の人数)}/84で評価した。 3.上記2.で評価した橋梁美pを出力値(教師値)、上記1.が選定した評価項目を入力値として、市販のニュ-ラルネット・シミュレ-タ(RHINE)によりア-チ橋の景観評価システムを構築した。その結果、橋梁美の評価に際して重要となる評価項目として、背景の山、水、橋桁、補剛材の各サイコベクトル、橋梁形式、橋種、視線入射角等の各項目を上げることができた。 来年度は、本年度構築した評価システムを用いて、ア-チ橋の景観設計手法の開発、ならびに他の橋梁形式にも適用できるシステムを開発する。
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