本研究は、実構造物の長期の変形やひびわれ幅の予測を行うにあたっては不可欠の変動する温度および湿度を中心的な影響要因として取り上げ、これらの要因が長期の変形およびひびわれ幅の挙動に及ぼす影響を実験により把握する。さらにその影響度を評価し、変動する温度、湿度条件下RC部材の長期変形・ひびわれ幅の予測方法の開発を目的とする。平成3年度に開始した屋外、屋内、恒温恒湿室での持続荷重による長期曲げ実験より得られた結果をまとめると以下のとおりである。 1.載荷直後からのひびわれ幅の増加量は湿度の低い期間があったため屋内の場合が最も大きく、恒温恒湿室の場合より載荷後50日で約30%大きくなっている。屋外の場合は屋内と同様に湿度の低い期間があったが、降雨があった場合にはほとんど増加しないかあるいは滅少するため、ひびわれ幅の増加量は恒温恒湿室とほぼ同程度である。 2.屋外におかれた場合において、引張部に日射を受けた供試体は日射を受けないものに比べて、ひびわれ幅の増加割合が小さくなる傾向がある。また、平均曲率においては日射を受けることにより曲率が大きくなる傾向が認められる。しかしながら、試験期間が冬季であるためその程度は顕著ではない。 3.ひびわれ幅の経時変化は屋内、屋外、恒温恒湿室ともコンクリ-トの乾燥収縮量と概ね対応したものとなっているが、屋内および屋外においてはさらに温度変化による影響を受ける傾向がみられる。 今後は計測を継続して行い、梅雨や夏季を経ることにより温度変化、日射、降雨などの影響が明確になると考えられ、それらの結果より環境条件の違いを考慮した長期変形・ひびわれ幅の予測方法について検討を行う。
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