高炉スラグ微粉未の添加率、粉末度および種類、セメント種類、単位結合材量、水結合材比等を種々変化させた計42種類のコンクリ-ト配合について、それら配合要因が水和発熱特性、強度発現特性および耐久性におよぼす影響について検討を行った。本年度の範囲における結果を要約すればつぎのとおりである。 1.強度発現特性:強度発現特性に関しては、圧縮強度、静弾性係数および動弾性係数を取上げて検討した。配合条件が変化すれば強度発現特性は大きく変化することが認められる。他の配合要因が変化しても、スラグ添加率が単位結合材量の85%程度までであれば初期材令、長期材令ともにスラグ無添加の配合と比較して圧縮強度には大きな低下は見られない。静弾性係数および動弾性係数についても同様の傾向が得られた。 2.水和発熱特性:水和発熱特性については、42種類の配合のうちスラグ添加率および粉末度に注目して14種類の配合を選んで断熱温度上昇試験を行った。高炉スラグ微粉末を多量に置換することによって水和発熱特性を大幅に改善することが期待できるとともに、粉末度を変化させることによっても水和発熱をある程度コントロ-ルすることができる。 3.耐久性:コンクリ-ト構造物の耐久性の関わることがらのうちで今年度は中性化を取上げて検討を行った。高炭酸ガス濃度下における中性化速度は、自然環境下における場合と同様に時間の平方根に比例するといえる。中性化速度は、セメント種類、単位結合材量、水結合材比のいかんにかかわらず、高炉スラグの添加率が増加するほど著しく増加する。スラグを多量に利用する場合には、中性化に対してなんらかの対策が必要である。
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