本研究は、単位セメント量の95%までを高炉スラグ微粉末で置換した、高炉スラグ高含有コンクリートについて、(1)引張り強度発現特性に関する研究、(2)高性能AE減水剤の利用による諸特性の改善に関する研究、(3)自然環境暴露条件下における中性化に関する研究を行い、高炉スラグ微粉末の有効利用方法を実験的に究明しようとするものである。 本研究成果を要約するとつぎのとおりである。 1.コンクリートの圧縮強度とスランプを同一にしたとき、高性能AE減水剤を用いたコンクリートの断熱温度上昇量は、AE減水剤を用いた場合よりも低くなる。 2.高性能AE減水剤を適切に用いると、高炉スラグ置換率85%以内であると高炉スラグ高含有コンクリートの強度低下を防止することができる。 3.高炉スラグ高含有コンクリートの引張り強度発現特性は、圧縮強度発現特性同様、各種配合要因によって大きく変化するが、引張り強度は圧縮強度の約1/9となる直接関係として表される。 4.単位引張り強度当りの断熱温度上昇量を用いて、強度-発熱特性関係への高炉スラグ微粉末の効果を評価することが可能であり、同じ置換率であれば粉末度が高い方が効果が高いことが示された。 5.自然暴露条件における高炉スラグ高含有コンクリートの中性化速度は、促進中性化速度と高い相関を示し、促進中性化速度から推定することが可能である。 6.前養生期間が充分でない場合、自然暴露条件における中性化速度は促進試験における中性化速度が同じであっても、粉末度が小さい方が早くなることが明かとなった。
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