研究概要 |
本研究で対象としている海底粘性土地盤は次の2つである。 (1)沈降・堆積・圧密のいづれかの過程にある底泥で構成される若い地盤 (2)自重圧密が終了した地盤あるいは、堆積後十分な時間が経過した自然地盤 前者の異体的な問題は,波浪の繰返しによる海底地盤の地すべり及び構造物を媒介とした海底地盤の安定と沈下である。これらを予測するためには、(1)挙動の観察、(2)そのモデル化を経た後(3)数値計算による予測手法の確立が必要である。このような立場から本研究では,主として,(1)を中心に検討を加えたが,とりわけ,(2)については予測手法の提案まで踏み込んだ数値実験を行った。今年度の主な成果は次の通りである。 (1)液状粘土の沈降・堆積・圧密過程を観察した結果,自重圧密の開始時間は,液状粘土の(1)塩分濃度,(2)有機物,(3)初期含水比に支配されることがわかった。このことの確認のためには,間隙水圧の正確な測定が可能欠であるが,本年度は数値実験と対応させるまでには至らなかった。 (2)自重圧密過程にある液状粘土の強度は,ベ-ンせん断試験によって測定することが現時点で最良と思われるが,回転粘土計などによって得られるパラメ-タとを対応させることには成功しなかった。 (3)繰返し荷重を受ける自然堆積地盤の間隙水圧モデルを提案し,これを用いた防弱地盤上防波堤の変形・安定解析を試みた。その結果,(1)防波堤の自重を考慮しなくても,波浪によって防波堤は波の作用方向に傾斜し破壊するおそれがある,(2)防波堤を安定化させるためには,底部幅を大きくする必要があるが,スカ-トはそのためには効果を発揮しない。(3)波浪による微少な間隙水圧によって,構造物は沈下し,さらに支持力低下を引き起すことなどが明らかになった。
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