研究概要 |
海底の軟弱な岩盤に対するグラブバケットによる非定常掘削の機構を解明するために、単軸圧縮強度60kgf/cm^2に至る3種類の軟岩供試体を作成し、掘削刃のすくい角をー20度から10度おきに60度まで、鉛直貫入力を3〜44kgf/cmまで種々に変化させて掘削実験を行なった。その結果、水平掘削抵爾は掘削開始直後に増大するが掘削距離の増加とともにほぼ一定値で推移している。一方、鉛直掘削力は掘削直後に一度極小値を取った後鉛直貫入力の値にまで回復することがすべてのすくい角に対して確認された。また、水平・鉛直掘削力を掘削距離、軟岩のせん断強度,鉛直貫入力,及びすくい角の関数として定式化することができた。次に、非定常掘削特有の掘削刃の軌跡を左右する掘削刃先端に作用する食い込み抵抗の大きさを決定する貫入抵抗係数について考察し、この係数がすくい角の2次関数で表現できることを明らかにしている。また、いずれの岩石供試体に対しても貫入抵抗係数はすくい角10度において最小値となることが判明した。さらに、刃先の軌跡より掘削土量を算定した結果、掘削バケットの大きさを一定とすると、掘削土量は各すくい角に対して軟岩のせん断強度、鉛直貫入力(バケット自重)の関数として定式化することができた。なお、現在軟岩の掘削時の破壊メカニズムについては、FEM解析によって解析を行なっており、最適なグラブバケットの形状,寸法,及び重量を総合的に判断して、最適な施工能率及び掴み効率を決定するために解析を行なっている。また、現地におけるグラブバケットの施工能率試験を実施する計画であり、特に掘削土量とサイクルタイムとの関連を調査し、単位時間当たりの作業効率の算定方法について提案する予定である。
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