研究概要 |
1.実河川での乱流計測システム:2成分小型電磁流速計2台,容量式水位計を用いた野外流路の精度良い乱流計測を目的に,計測システムを検討した.電源としては自動車の直流電源を100V交流に変換することで,実験室と同条件を得た.記録はフロッピ-にデジタル量として記録できる(6チャンネル)レコ-ダ-を用い,実験室と同レベルの解析ができる.サポ-トは場所に応じ工夫し,支持棒の振動防止,プロ-ブの位置ぎめ(とくに河床からの高さ)を精度良く行なえるよう留意した.コンクリ-ト直線流路(ほぼ滑面)で,等流状態を得て乱流計測を行ない,流速,乱れ強度,レイノルズ応力分布,バ-スティング検出などについて検討した結果,無次元化された特性量について実験室と遜色ないデ-タが得られることがわかった. 2.野外直線流路で粗度形態の異なる路床上の開水路乱流の構造:相対水深の小さい礫床上の流れ,植生に覆われた路床上の流れについて,計測を行なった.この結果,相対水深の小さい流れでの路床近傍のレイノルズ応力の欠損(ラフネスサズレア-の存在)など,実験室で指摘された乱流構造の変化が野外流路規模でも確認された. 3.粗度の急変部での乱流構造:実河川で粗度が大きく急変する場を選び,粗度急変後のレイノルズ応力,流速分布の遷移過程を調べた.この結果,本研究に先立って研究した結果として提案されたレイノルズ応力の緩和過程に対する畳み込み積分モデルが実験室水流,風洞実験の結果と同じパラメ-タで記述できることなどが晃かにされた。 4.植生帯を伴う流れの特性:実河川で流路に沿って植生群落のある場での横断方向の乱流構造の変化およびそれに伴った水面変動を調べた.実験室で注目された組織変動が実河川でも観測された.
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