研究概要 |
扇状地の扇央付近の土砂堆積が引き起こす流路変還と多列砂州の形成による流路分岐に関連して,藤田は,既往の多列砂州と網状流路の形成過程に関する実験成果に,既往の砂州波高の予測式と河床変動の線形安定理論を適用して,多列砂州の列数の減少過程がある程度定量的に予測できることを示すとともに,細砂河床の効果についても主に小規模河床形態の観点から検討を加えその水理特性を明らかにした。 土砂堆積を伴う平面2次元の流路変動実験を,澤井は,沖積三角州河川の河口部の堆積過程とその制御を対象とし,潮汐の影響を加味できるように既往の実験装置を改良して行った。一方,藤田は,山間部から流下してくる河川が平地に土砂を堆積しながら変動していく過程に関する基礎実験を行うために,モ-タ-ドライブレ-ザ-セオドライトを用いた光学式三角測量の原理を応用した高度な計測システムを開発した。両者は,沖積扇状地河川及び沖積三角州河川を対象としたこれらの実験において,土砂堆積によって旧流路での水流の挙動が制限され,新流路が形成されていく過程を観察したが,さらに澤井は,その形成限界と堆積土砂の排除に関連して,三角州河川の河道幅が漸拡していく場合について1次元河床変動の数値解析を試みて潮汐の影響を行った。 村本は,大規模な河道変動の水理特性を把握するために,バングラデシュの諸河川における河岸侵食と砂州形成の実態をランドサット衛星写真の解析と現地測量デ-タの検討によって明らかにし,それが流送土砂量の多いブラマプトラ河で顕著に生じており,1洪水のよって2〜3kmの河道変動を引き起こす場合のあることを指摘した。同時に藤田とともに,メグナ河メグナ橋周辺約10km区間について,河岸形状の検討と簡単な流況計算を行い,河岸侵食の激しい個所が河岸近傍河床の洗掘されている高流速個所と一致していることを示した。
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