研究概要 |
本年度は,以下の4種類の内容について研究を進展させた。 1.捨石単粒子の着底位置に関する価率論的な性状については,捨石単粒子の落下投入実験より,水風を6等分した各区間における捨石の水平移動距離(平面座標:x,y)に関する統計量を画像解析により検討した。各区間毎の捨石のx,y方向の散乱分布は,捨石の重量および水深の変化に関係なく,正規分布で近似でき,また各区間の捨石の落下位置に関する平均値および分散はそれぞれ0および等しい値をとることが明らかになった。 2.ホッパ開口速度の変化と散乱範囲の関係については,底開式バ-ジの模型を用いた多数回投入実験より,開口速度と散乱範囲に関する関係,並びに堆積マウンドの法面勾配(捨石の水中安息角)および堆積高さと投入回数の関係に関する実験式を提案し,3.の予測モデルの補正を行うための基礎資料とした。 3.捨石マウンドの堆積形状に関する予測モデルについては,捨石群の着底位置に関する確率分布とバ-ジの積載体積量の積として,マウンド形状を求める確率論的な予測モデルを誘導した。捨石群の着底位置に関する確率分布には,1.の結果を基に捨石の落下散乱の確率過程に対してマルコフ・チェ-ンを適用し,その適合性が実験結果との比較より確認された。本予測モデルは,多数回投入における捨石マウンド斜面での捨石の滑動・転落が生じる場合に問題を残すが,このための堆積形状の補正モデルを4.および2.の結果より提案している。 4.捨石マウンド斜面における捨石の滑動・転落に関する数値解析については,岩魂集合体の動的挙動の解析に用いられているDiscrete Block Method(DBM)を用いて,マウンド斜面での捨石の滑動・転倒に関するプログラムを開発し,マウンド法面の勾配(捨石の水中安息角)について実験結果とよい一致が確認できた。
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