研究課題/領域番号 |
03650426
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平野 宗夫 九州大学, 工学部, 教授 (50037850)
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研究分担者 |
大本 照憲 熊本大学, 工学部, 助教授 (30150494)
橋本 晴行 九州大学, 工学部, 助教授 (70117216)
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キーワード | 火山灰 / 飛散距離 / 土石流 / 浮遊粒子 / 粒度分布 / せん断乱流場 / 環境汚染 / 数値シミュレーション |
研究概要 |
桜島の火山活動は1972年頃より活発化し、近年になっても衰えを見せず、鹿児島地方気象台における桜島の新規火山灰の堆積量は、1985年には年間15.9kg/m^2に達し、1955年以降最高の1978年に記録された4.5kg/m^2の約3.5倍であった。鹿児島県の降灰観測所27地点の比較でも、同様の比較で約2.9倍に達し、それ以前の観測記録を更新している。また、1985年の爆発回数も記録最大の年間474回に達し、多量の火山灰や噴石を島内だけでなく、その周辺部に放出し、当地域の農作物に大きな被害を与えた。更に山腹に堆積した火山灰や噴石は、各河川を土石流となって流下して住民の脅威となった。流域における火山灰の分布を知ることは、土石流の流出予測および災害防止のために不可欠であるが、激しい火山活動時においては火口より半径数キロメートル以内は立ち入り禁止区域となり、その範囲の降灰量の観測は実現不可能な状況となるのが一般的である。そのため、降灰モデルに基づく降灰量の理論予測が必要となる。本研究では、降灰量を桜島上空の風向、風速および爆発高度に関するデータから、その確率分布を考慮し、鹿児島県下の降灰観測資料を用い、県内の堆積厚分布および火口における放出火山灰量の推定法を提案した。また、降灰の粒度分布特性に関する理論式を提示し、観測資料と比較検討を行うことによって、理論式の適合性が良好であることが示された。次に、火山灰の飛行過程をBasSet-Boussinesq-Oseenの式にSlip-Shear Motionによる揚力の効果を加えた運動方程式を基礎式として数値シミュレーションを試みた。その際、流体粒子の運動モデルに一次マルコフ過程を適用し、浮遊粒子の上昇時および下降時における抗力、圧力勾配、バセット項、揚力等の各項の寄与について比較検討を行った。浮遊粒子の軌跡に関する実測値と計算値を比較した結果、本数値シミュレーション法の妥当であることが検証された。
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