研究概要 |
交通計画を行なう場合、交通活動に対する地域のかかわり合いが、大きな問題となることがよく知られたいる。しかしながら、地域の交通行動に対するニ-ズが、住民の要求の多様性、地域社会の構造の複雑性に伴ない明示的に評価できない場合が多い。また、交通施策の地域に対する効果を考えるにあたっても、その内部性と外部性をいかに評価するかによって非常に難しい側面がある。それに対して、評価に対して、ある幅を設定(認識させる)することによって、それらの評価に彈力性を持たせることが、ここでの目的である。すなわち、従来、評価方法に決定論的方法を導入してきたが、ここでは、評価に対する多値性(人間の持つ認識幅を真理とする考え方)を持たせ、それらの多値性の下での代替案評価を行なうことで、妥協的な解を見つける方法の開発を試みた。今年度は、地域住民や、意思決定者の中に存在するいくつかのゆらぎ(意見の流動性やダイナミック性)に着目し、それらの幅を認めることによって、どのように意思決定問題が不確実性を持つかについて、実際例を通して検証した。様相性は、自分の中の可能性を限りなく求める可能性測度と、自分の中のこれだけはゆずれないという必然性測度によって評価された。また、その中間的な測度も新たに提案した。実際例は、地域環境評価に基づく都市内地区整備代替案選択をパイロットモデルとし、道路周辺環境整備施策の選択をその次に検討した。方法は、パ-ソナルコンピュ-タによるモデルビルディング、評価によって行なうものとした。その結果、反対意見の影響,意見のばらつきの影響,あるいは、重要度,緊急達成度,非代替性などの属性,あるいは,それらの統合的評価によって,それぞれの代替案評価が異なり、また、その中でも安定性のある代替案を選択することによって,多様性や,複雑性を条件とした代替案評価ができることが分った。
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